借地権の相続
トラブルにまつわる
事例

     

借地権の相続トラブル 要点10秒解説

  • 地主から相続時や更新時に土地の返還を求められても応じる必要はない

  • 相続時に承諾料(名義書き換え料)を請求されても支払う必要はない

  • 借地権の譲渡や建て替えを地主に拒否された場合、借地非訟裁判で許可が受けれる

  • 不動産の共有は後にトラブルになることが多い

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土地の権利には大きく分けて以下の2つがあります。
所有権 借地権

土所有権は、自分の所有する土地に家を建てたり、駐車したりするための権利のことです。 一方で借地権は、土地の所有者に賃料などの対価を支払う「土地を利用させてもらう権利」になります。 借地権の相続には、専門的な知識や細かい法律がかかわってきます。そのため、トラブルも起きやすいのが現状です。 そこでこの記事では、できるだけ借地権の相続をスムーズに済ませたい方のために、借地権の相続にまつわるトラブル事例を紹介します。そのトラブル事例をもとに、借地権の相続で注意するポイントや、失敗しないための方法なども合わせて詳しく解説します。 ぜひ最後までチェックしてみてください。

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借地権の3つの種類

借地権には、3つの種類があります。まずは、借地権の概要について知っておきましょう。

普通借地権

普通借地権の特徴は以下の通りです。

普通借地権
● 契約期間30年以上
● 契約更新ができる

例えば、契約期間を45年と定めた場合の契約期間は45年となります。一方で、25年に定めた場合、その期間は無効となるため注意が必要です。無効の場合、契約期間は期間の定めがない契約となり期間は30年となります。 また、契約の更新期間にも定めがあるため、覚えておきましょう。

契約更新
● 1回目の更新…20年以上
● 2回目の更新以降…10年以上

定期借地権

普通借地権とは「真逆の性質」と言えるのが定期借地権です。普通借地権と違い契約の更新がありません。 借地としての円滑な活用が期待できるため、土地所有者にとって有利な契約の種類と言えるでしょう。

契約内容
● 契約期間(定期借地権の種類による※下記参照)
● 契約更新ができない

さらに定期借地権には、以下の3つのタイプがあります。

種類 契約期間 契約書類
一般定期借地権契約期間50年以上公正証書など
建物譲渡特約付借地権契約期間30年以上公正証書など
事業用定期借地権契約期間10年以上〜50年未満公正証書

定期借地権は、契約が完了したら建物を解体して返却します。ただし建物譲渡特約付借地権に関しては、契約から30年後に土地所有者が建物を買い取ることが可能です。 なお、事業用定期借地権は、事業用の店舗やテナントを建てて利用するための借地権として多く利用されるのが一般的です。

旧借地権

平成4年8月施行の新しい借地借家法が施行される前に「借地契約」を交わしている場合、この旧借地権が適用されます。
平成4年8月以前に借地契約を締結している場合は、更新時期が平成4年8月以降でも「旧借地法」が適用されることを覚えておきましょう。
また、旧借地権では建物の構造などによって契約期間や更新期間が違います。

堅固建物(鉄筋コンクリート造など)
最初の契約期間30年以上
更新後の契約期間30年以上
非堅固建物(木造など
最初の契約期間20年以上
更新後の契約期間20年以上

定期借地権と違い、一度貸すと取り戻すのが難しくなる性質から、土地所有者にとっては不利です。

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借地権の相続は「承諾」がいらない

ここでは、借地権の相続について解説します。
借地人が死亡した場合、相続人が借地権を相続するのが一般的です。土地の賃料や契約期間も、相続人に承継されることになります。
借地権を相続したら「土地の所有者に報告が必要」と焦る方もいるでしょう。しかし、そもそも借地権を相続するために、土地所有者の承諾や承諾料の支払いなども必要ありません。
しかし、相続人以外の第三者に借地権を譲る場合は以下の変更が必要になるため注意しましょう。

  • ● 土地所有者の承諾
  • ● 土地所有者への承諾料の支払い
  • ● 借地契約内容の変更など

さらに、借地権を相続する場合は様々なトラブルが多いのも事実です。次章では、借地権に関するよくある相続トラブル事例をご紹介します。

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借地権に関するよくある相続トラブル事例

借地権を相続する場合、様々なトラブルに遭遇することがあります。土地所有者だけでなく、共同相続人とのトラブルもあるため注意が必要です。

土地所有者とのトラブル5選

まずは、土地所有者とのトラブル事例5選を見ていきましょう。

①土地の返却を求められる

借地権の相続時は、土地の返却を求められやすいタイミングと言えます。さらに、土地所有者が土地を売却して、新たな土地所有者から「土地の返却」を求められるケースも多いです。
しかし、土地所有者が土地の返却を求める場合は、正当な理由が必要になります。

  • ● 建物が老朽化して命の危険があるケース
  • ● 土地所有者が居住せざるを得なくなるケース

単に「借地権を相続したから」「所有権が変わるから」という理由では、土地の返却は認められないため安心しましょう。

②名義変更費用を請求される

借地権を相続した際に、土地所有者から「名義変更費用」を請求されるケースがあります。本来、名義変更費用は借地権を第三者に売却する際などに必要です。つまり「土地の借主が変更することへの承諾」を土地所有者からもらうための対価と言えます。
しかし借地権を相続した場合、名義変更費用の支払いは必要ありません。
前述したように、借地権の相続には土地所有者の承諾は必要ないからです。しかし、相続の承諾が必要ないとは言え、少なくとも以下のことを心がけましょう。

  • ● 相続により借地人が変更したことを報告する
  • ● 被相続人が締結していた内容にて相続人と土地所有者で借地契約を締結する

土地所有者との良好な関係を維持するために、土地所有者とのコミュニケーションも必要です。

③地代(借地料)を値上げされる

地代を値上げされるケースは、借地権を相続した際によくあります。例えば以下のような理由からです。

  • ● 知り合いだったため相場より安く貸していた
  • ● なかなか連絡がつかず地代の値上げをお願いできなかった

相続時に、借地契約の内容も承継するため地代の値上げに応じる必要はありません。しかし、契約内容に「地代の見直しができる」「協議の上、地代変更できる」などの文言がある場合は、話し合いで地代を決定することになります。
土地所有者と相続人が納得できるように、地代交渉については専門家にご相談することがおすすめです。

④家の建て替えを拒否される

借地権を相続したタイミングで、家の建て替えを検討している方もいるかもしれません。借地権の相続で、家を建て替える場合は契約書に以下のような「特約条項」があるかどうかを確認しましょう。

  • ● 借地上の建物を建て替える際は「土地所有者の承諾」が必要
  • ● 借地上の建物を建て替える際は「建て替えの承諾料」が必要

この特約があることで、建物の増改築による土地への不利益を防ぐことができます。これらの特約条項がある場合は、土地所有者の承諾が必要です。
ただし以下のような条件の場合は、土地所有者の代わりに裁判所へ承諾を求めることができます。

  • ● 建物が老朽化している
  • ● 土地所有者が建て替えに承諾しない

土地所有者と話し合いで決まらないようであれば、裁判所の許可をもらうことも視野に入れておきましょう。

⑤家の売却を拒否される

借地の相続人によっては、相続した家を売却したい方もいるでしょう。既に住んでいる家がある場合は、相続した家を売却することももちろん可能です。
この場合、土地を借りている権利も一緒に売却できます。しかし、相続した借地権の種類によって対応が異なります。

相続した借地で家の建て替え等を行う場合
借地権の種類土地所有者の承諾権利の種類
賃借権の場合必要債権
地上権の場合不要物権

地上権とは、他人の土地を使用するための権利のことです。土地所有者の承諾がなくても、土地上にある建物の賃貸や売却が自由にできます。
一方で、賃借権の場合は「家を建てて住む」ために設定されている権利になるため、建物の賃貸や売却する目的で権利を行使する場合は、土地所有者の承諾が必要です。
賃借権の場合、土地所有者の承諾を得ずに売却してしまうと借地権の解除される恐れがあるため絶対に取引をすすめてはいけません。
裁判所へ申立を行うなどの方法もあるため、一度「借地権相談所」にご相談ください。

共同相続人との主な2つのトラブル

借地権の相続で、共同相続人がいる場合のトラブルも多くあります。「相続」ならぬ「争続」に発展しないように、事例を確認しておきましょう。
ここで解説するのは、共同相続人とのトラブル事例です。

①借地権を共有するともめやすい

借地権を共同相続人(配偶者と子ども3人)が共有する場合は、以下のようなトラブルが起きやすいです。
しかし、土地所有者が土地の返却を求める場合は、正当な理由が必要になります。

  • ● 借地権を売却する際に承諾しない相続人がいる
  • ● 地代を支払わない相続人がいる

借地権を共有すると「意見が分かれるため売却がスムーズにできない」「地代を一部の相続人が払わない」などのトラブルが起きやすくなります。
借地権を相続する場合は、共有名義ではなく単独名義で相続することがおすすめです。
「配偶者が借地権を単独所有する」「子どもが金融資産を相続する」など、遺産分割協議の中でスムーズに決めましょう。

②遺産分割協議書がまとまらない

複数の相続人がいる場合は、誰が相続人になるのかを話し合いで決める必要があります。そして話し合いで相続人が決定したら「遺産分割協議書」を作成するのが一般的です。
遺産分割協議書とは、話し合いで合意した内容を書面にまとめた内容のことで、主に司法書士や弁護士が作成します。
しかし、以下のような理由から遺産分割協議がまとまらず、なかなか相続手続きが進まないケースも多いこともあります。

  • ● 同相続人が遠方に住んでいて連絡がとりづらい
  • ● 住所に手紙を送っても連絡がない
  • ● 不審な手紙だと勘違いされる

司法書士や弁護士に依頼しても、連絡が取りづらいケースも多いです。どうしても連絡がつかず、行方不明になっている恐れがある場合は、2つの進め方を試してみましょう。

  • ● 不在者財産管理人を選任する
  • ● 失踪宣言を行う

ただし、専門的な知識などが必要になるため、一度「借地権相談所」にご相談ください。

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借地権の相続で注意すべきポイント

この章では、借地権の相続で注意すべき2つのポイントを解説します。

借地上の建物は「登記」しておく

借地権を相続する場合、借地上にある建物登記を忘れずに行いましょう。例えば、以下のようなケースがあります。

  • ● 借地の名義人が相続人A
  • ● 建物名義人が相続人の息子B

この場合、転貸や譲渡を土地所有者に無断で行ったとみなされる場合があります。借地権の契約を解除されることになりかねないため必ず登記しておきましょう。
2024年4月に施行される相続登記義務化も視野に入れておくことが必要です。

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借地権の相続で失敗しないための方法

借地権の相続で失敗しないためには、「売却」という選択肢もおすすめです。ここで解説する方法を覚えておきましょう。

借地権を「売却」するのも視野に入れる

土地所有者の承諾を得れば「借地権」も売却することができます。借地権を売却するおすすめの4つの売却方法を見ていきましょう。

①借地権と底地権を同時に売却

借地権の相続時は、土地の返却を求められやすいタイミングと言えます。さらに、土地所有者が土地を売却して、新たな土地所有底地権とは、借地権付き土地の「所有権」のことです。借地権と底地権を同時に第三者に売却することで、買主は「土地建物の所有権」を得ることができます。
借地権や底地権は、単体では価値が下がります。そのため、同時売却することで買主、土地所有者、借地人ともにメリットを受けることが可能です。

②借地権を土地所有者に売却

借地権を土地所有者に売却することも可能です。これにより、借地権は消滅し、土地所有者が建物の所有権を得ることになります。

③借地権を第三者に売却

借地権だけを第三者に売却する方法です。

  • ● 土地所有者の承諾
  • ● 土地所有者への承諾料支払い

土地所有者に対して、上記の承諾や支払いが必要になります。

借地権売却額の算出方法

ここでは、借地権売却額の算出方法を解説します。参考にするのは、固定資産税評価額や相続税評価額です。
分かりやすい資料としてを参考に計算してみましょう。例えば、60坪・相続税路線価が㎡/420,000円で借地権割合が70%のケースです。

路線価

路線価額(自用地価格)
60坪×1,390,000円=83,400,000円
※㎡/420,000円(坪あたり約1,390,000円)
路線価額(借地権割合の価格)
83,400,000円×70%=58,380,000円

この場合、借地権の評価額は58,380,000円になります。ただしあくまでも目安としての価格です。

参考資料:国税庁 路線価図・評価倍率表

借地権の相続で失敗しないための方法

借地権の相続には、様々なトラブルがあります。土地所有者だけでなく、共同相続人とのトラブルもあるためしっかり対策しておくことが大切です。
この記事にある、注意すべきポイントや、失敗しないポイントを押さえておけば借地権の相続トラブルに巻き込まれる可能性も少なくなるでしょう。
しかし、借地権の相続に関する知識は細かい内容も多々あります。そのため、専門家である不動産会社に相談することをおすすめします。
不動産のことなら、弁護士や司法書士との連携もワンストップでできる「借地権相談所」に、ぜひお気軽に相談ください。

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記事監修

監修者大庭辰夫 監修者大庭辰夫

監修者:株式会社マーキュリー 取締役 大庭 辰夫
2011年4月に入社以来、借地権・底地などの権利関係が複雑な不動産を取り扱い数多くの借地権者様、地主様の問題を解決し、土地・戸建て・マンション ・商業ビルなどあらゆる不動産の再生を行ってきた。
また、弁護士との情報共有を頻繁に行い、借地権・底地の見識を日々深めている。2018年5月、取締役に就任。

 

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