借地権相続、手続きの流れなどを
わかりやすく解説

借地権相続の安心な進め方

「借地権を相続することになったけど何に気を付けるべきなんだろう」こんなお悩みをお持ちではありませんか。 借地権の相続には思い違いをしやすいポイントが多いため、きちんと調べないまま進めると、後で思わぬトラブルを招いてしまうことがあります。 そこでこの記事では「借地権の相続を滞りなく進めたい」とお考えの方に向けて、基礎的な知識から、避けるべきトラブル、よくあるQ&Aまで網羅的に情報をまとめていますので、最後までお読みいただくと、借地権の相続を思った通りに進めることができるようになるでしょう。

借地権の相続とは

借地権相続のお悩みの例

借地権相続のお悩みの例

借地権の相続でお悩みのお客様はたくさんいます。相続となるものが「争族」となってしまっては元も子もありません。
相続人の方からご連絡を頂くときには泥沼化していることもあります。相続は「争族」となる前に専門家へのご相談をお勧めします。
例えば

相続登記が曽祖父の代から未了のままで誰が相続人なのかわからない
法定相続人の意見が纏まらずお互いが感情的になってしまう
借地権を相続したけど持ち家がある為使用しない
相続したけど空き家のまま放置していて役所から連絡がきた(空き家対策特別措置法)
相続したが遠方の為に管理が難しい
地主さんから借地権は1代限りなので借地を返却してくださいと言われた
相続した時に地主さんに承諾料を求められた

など、様々な理由を抱えている相続人の方がいます。また、借地権は相続できるんですか?という質問もありましたが、借地権は相続する事が出来ます。遺産分割協議の対象にもなります。

借地権は相続の対象

借地権とは、その土地の上に建物を建てて利用することを目的として、土地を借りる権利のことを指します。
そのため、建物が建っていない駐車場や更地などは含まれません。

借地権とは
●建物を建てて利用するために他人から土地を借りる権利のこと。相続の対象となる。

「他人から借りる権利」と聞くと、「それって相続の対象になるの?」と迷ってしまう人もいるかもしれませんが、借地権は立派な「相続の対象となる財産」です。
借地権には、以下の3つの特徴があります。

借地権の特徴
●相続の対象なので相続税がかかる
●遺産分割協議の対象になる
●借地上の建物の名義変更をすることで相続したことになる

上記のように借地権は相続の対象になるものであるため、相続税を支払う義務が発生します。 さらに、相続人が複数存在する場合は、遺産分割の対象にもなります。
相続の方法は、借りている土地の上に建っている建物について、名義変更をすることです。土地の持ち主との間の土地賃貸借契約書を更新する義務はありませんが、トラブル回避のためにも土地賃貸借契約書の名義変更をしたほうがいいと思います。
まずは基本的な事項として、借地権は相続の対象となるため、上記の対応が必要になるということを認識しておきましょう。

借地権の相続に名義変更料(譲渡承諾料)は不要

借地権を相続する際に、地主から承諾料を求められることがありますが相続は譲渡ではありません。相続は被相続人の地位を継承するため譲渡とは違い、原則として承諾料を支払う必要はありません。

借地権を相続する際の契約上のポイント
●相続に伴って契約書の名義を変更する必要ありませんが、トラブル回避のためにも土地賃貸借契約書の名義を変更をしたほうがいい
●相続は譲渡に当たらないため譲渡承諾料(名義変更料)は発生しない
●既存の借地契約がそのまま相続人に引き継がれる

上記のように、既存の契約内容がそのまま相続人に対しても引き継がれるということになります。
ただし、元々の契約者が亡くなっていたことが後で明らかになると地主さんの心象もよくないので、相続によって借地権を取得したということ自体は、地主に通知しておくようにしましょう。
まれに、相続をきっかけに土地の持ち主が相続人に対して費用を請求したり契約内容の変更を打診したりすることもありますが、法的な強制力はないため拒否できると考えて良いでしょう。
個別の契約書の中で言及されていることについては契約書の内容が優先されてしまうので、まずは現状どのような契約になっているのか、を正しく把握しておくことが重要です。

借地権相続時に土地賃貸借契約書は新たに締結したほうが良い?

借地権を相続した場合、相続人と地主との間に土地賃貸借契約書を新たに巻き直す必要はありません。それは、相続人は被相続人の債権債務を引き継ぐからです。被相続人が地主と締結していた契約内容はそのまま相続人に継承されます。もし、土地賃貸借契約書を紛失されていた場合は、巻き直しておいた方が後々のトラブル回避にはなります。

相続と遺贈の違い

相続と混同されやすい言葉に「遺贈」があります。借地権の相続には譲渡承諾料(名義書き換え料)は必要ないと上記でも書きましたが、遺贈の場合は違います。 借地権の遺贈は借地権の譲渡と同様に地主の承諾が必要となり、承諾料も必要です。
この2つの言葉の違いは以下の通りです。

相続と遺贈の違い
●相続とは亡くなった人の所有していた財産が、法定相続人に移転すること

●遺贈とは遺言書の内容に沿って、法定相続人以外の人間が遺産を得ること

上記のように、亡くなった人の財産を取得する者が法定相続人だった場合は「相続」、法定相続人以外の人間が財産を取得する場合は「遺贈」と呼ばれて区別されます。
この2つは似た概念ですが、借地権の場合、以下の表のように「相続」であれば土地の持ち主の承諾を得る必要はない一方で、「遺贈」となる場合は地主の承諾を得る必要があり、承諾料の支払い等も発生します。

借地権引継ぎの際の地主の承諾の要・不要
相続の場合 土地の持ち主の承諾は不要
遺贈の場合 土地の持ち主の承諾が必要。承諾料の支払いも必要。

この2つの言葉の違いについても理解しておきましょう。

※注意事項
「借地権者が亡くなった場合は、更地返還して地主に返還をする」などの事項が、賃貸借契約書に盛り込まれていた場合、すんなりと相続させる事が難しい場合がございます。ですが、一般的にこういった条文は借地権者に不利な条文として無効とされることがありますので、まずは地主側と掛け合ってみて、話の折り合いがつかない場合は、弁護士などへ相談してみると良いでしょう。
借地権の建物登記もなされておらず、前借地権者が地主側と賃貸借契約書も取り交わしていない場合は、借地権の存在を主張する事が難しい可能性がございます。それまでの地代支払い状況なども関係してきます。
地主側が借地権の権利を認めないと言っている場合は、弁護士さんへ相談をしてみて下さい。
地主側が借地権の権利を認めている場合は、相続のタイミングで賃貸借契約書を取り交わすことをお勧めします。

定期借地権の相続

旧法借地権と同様に定期借地権においても相続の対象となります。
しかし、定期借地権の場合は存続期間(一般的には50年)が定められており、存続期間が満了すると地主側へ返還をしなければいけないので、注意が必要です。契約の更新・延長などがなく、建物買取請求権も認められていない為、地主側へ有利な契約内容となっています。自身の借地権が、旧法借地権なのか定期借地権なのかは、契約書を調べるなどして確認をしてみると良いです。

定期借地権の注意点 image

相続税について

借地権も相続税の対象となります。相続税の評価額を示すものとして国税庁が定めている借地権価格・借地権割合がございます。相続税の評価額は、その土地が更地とした評価額×借地権割合にて算出をします。
なお、生前贈与の場合は、相続ではなく「贈与」の扱いとなる為、地主への名義書き換え料の発生や贈与税の課税がなされることもありますので、注意が必要です。
→ 借地権価格と借地権割合について

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借地権相続で知っておくべき8つのポイント

借地権相続に関する基本的な事柄についてはご理解いただけたと思います。
そこで次は、問題なく借地権の相続を進めるために知っておくべきポイントを解説していきます。
事前に注意点を知らずに進めてしまうと、「こんなはずではなかった…」「ちゃんと調べておけばよかった…」と後悔することになってしまいますので、ここできちんと把握しておきましょう。 この章でお伝えする内容は以下の8つです。

借地権相続のポイント

借地権相続のポイント

借地権相続に知っておくべき8つポイント
● 相続人に名義変更料・承諾料の支払い義務はない
● 立ち退きや更新拒否に応じる義務はない
● 地代の値上げを要求される場合がある
● 建物の建て替えに承諾が必要な場合がある
● 借地の建物の名義は相続人のものでなければならない
● 建物を取り壊して更地として活用しない
● 土地を無断で転貸してはいけない
● 相続後に第三者へ売却することも可能

①相続人に名義変更料・承諾料の支払い義務はない

1章でもお伝えしたように、借地権を「相続」する場合は、相続する側が名義変更手数料や承諾料などを支払う義務はありません。 ただし、これはあくまでも原則です。
過去の支払い状況や土地の利用状況など、何らかの理由をもとに、土地の持ち主が手数料等を要求してきた場合、「泥沼のトラブルを回避するためには支払っておいた方が良いのかな…」と悩むケースもあるかもしれません。
対応についてご自身だけで判断できない場合は「借地権相談所」へお気軽にご相談ください。

借地契約をした父が亡くなる

借地契約内容は、
そのまま相続人へと引き継がれる

ポイント

地主には、名義変更料などを支払う必要はない
以前の借地契約がそのまま相続人へ引き継がれる

【図1】 借地権の相続 - 基本的な考え方

②立ち退きや更新拒否に応じる義務はない

土地の持ち主に対して「借地権を相続した」という連絡をすると、良いきっかけだとして立ち退きを要求されたり土地賃貸借契約の更新時に更新を拒否されたりすることもあるかもしれません。
しかし、こういった要求にも応じる義務はありません。
土地の持ち主が、それまでの契約を一方的に解約するためには、それに値するだけの「正当な事由」が認められる必要があるためです。
基本的には、借地借家法に基づき借地権としての権利保護の方が優先されるため、相当の理由がなければ突然の立ち退きや更新拒否要求が認められることはないと考えておいて良いでしょう。

③地代の値上げを要求される場合がある

立ち退きや更新拒否までされないにしても「地代の値上げを要求される」という可能性は充分に考えられます。
そんなときは、理不尽な値上げ要求であれば応じなくても構いません。
しかし土地の相場高騰などがあり、「近隣の土地と比較して不相当になっている」などの正当な理由がある場合は、対応せざるを得なくなることもあるかもしれません。
そのため、値上げを要求された場合はその根拠を書面で受け取って内容を明確にし、応じる妥当性があるかどうか判断していくようにしましょう。

④建物の建て替えに承諾が必要な場合がある

借地上に建っている建物の建て替えや増改築について、土地の持ち主の許可が必要かどうかは個別の契約書にその記載があるかどうかによって以下のように異なります。

建物の建て替えに対する承諾の要・不要
● 契約書内に「増改築や建て替えの際に土地の持ち主の承諾を得る旨」が記載されている場合→ 土地の持ち主の許可を得る必要がある

● 増改築について一切記載されていない場合→ 土地の持ち主の許可を得ることなく、自由に建て替えができる

この部分は法律で決まっているものではなく、個別の契約書で取り決める内容となるため、まずは契約書の内容に従うようにしましょう。
ただし、契約書に書かれていないからといって勝手に建て替えを行うと、契約上は問題がなくても、土地の持ち主の心情を害してしまう恐れがあります。
そのため、増改築や建て替えを行う際は、承諾が必須でない場合であっても事前に連絡しておくほうが後々のトラブル防止になるでしょう。

⑤借地の建物の名義は相続人のものでなければならない

相続の際にうっかり発生しやすいのが、「借地上の建物の名義を相続人以外にしてしまう」というケースです。
例えば以下のような例が考えられます。

● 義父名義の借地権。義父が亡くなり妻が借地権を相続、現在の建物が古いためそのまま利用ができない。建替えるために子供の名義で住宅ローンを組んで子供名義で建物を新築したい。

● 相続した借地に建っている家をそのまま子供に譲渡したい

こういった状況の場合でも、借地上へ勝手に子供の名義で建物を新築したり、既存の建物の名義を子供に変更したりしてはいけません。
なぜかというと、借地権は、あくまでも「その上に建物を建てて利用すること」を目的とした契約であるため、「土地を借りている人」と「その上に建っている建物の所有者」は同一でなければならないという前提があるからです。

借地の建物の名義は相続人のものでなければならない

借地の建物の名義は相続人のものでなければならない

もしこれを知らずに、土地を借りている本人以外の人を建物の所有者として設定してしまった場合「別の人へ無断で転貸した」とみなされるため、借地契約解除の申し立てをされても文句が言えなくなってしまいます。
土地を借りている人(親)と子の共有持分として建築をするという場合でも、土地の持ち主の承諾は必要となります。
建物を建ててしまってからでは遅いので、この点については充分注意しておきましょう。

⑥建物を取り壊して更地として活用しない

前述の通り、借地権の前提は「その土地の上に建物を建てて利用すること」です。
そのため、相続した借地に建っている建物の使い道がないからといって、更地にして駐車場にしたり、資材置き場にしたりしてしまうのはNGです。
あくまでも建物が建っていないと、借地権は発生しないからです。
火事や、地震などの自然災害で建物が倒壊した場合も、そのまま放置してしまうと借地権は消滅するので気をつけましょう。

⑦土地を無断で転貸してはいけない

相続した借地上に建っている建物を、「当面誰も住まないから他の人に利用してもらいたい」という場合は、「土地の転貸」に該当しないよう注意する必要があります。

土地の転貸に該当するかどうかの判断ポイント
● 建物の名義が土地を借りている本人のものである場合

● 建物の名義を別の人にする場合

何度か出てきている通り、借地権とは「土地の上に建物を建ててそれを利用する権利」となります。
そのため、建物の名義が「土地を借りている本人のもの」である限りは、自分が住んでも他の人に貸しても、「利用」の範囲として判断されます。
ただし先ほどもお伝えしたように、親が土地の借主であるのに、その子供の名義で二世帯住宅を建築する、などということをしてしまうと、これは転貸に該当してしまいます。
あくまでも「建物の名義人」と「土地を借りている人」は同一でなければならない、ということを覚えておきましょう。

⑧相続後に第三者へ売却することも可能

相続した借地権は、第三者へ売却することも可能です。
「土地を借りる権利を他人に売却する」と聞くと違和感があるかもしれませんが、借地権は立派な財産ですので、その権利を他の人に売ることができます。
例えば以下のようなケースでは売却を検討することになるでしょう。

借地権の売却を検討するケース
● 相続人が、借地上の建物に住む予定がない場合

● 相続人が複数おり、借地権という権利のままではうまく財産を分割できないため、お金に換えたいという場合

ただし、借地権の売却には土地の持ち主の承諾が必要となり、譲渡承諾料などの支払いも発生します。
もしも承諾を得ずに勝手に売却すると、契約違反に該当して、借地権自体が解除になってしまう可能性があるので注意しておきましょう。
もしくは、第三者ではなく地主に買い取ってもらうというやり方も有効です。
いずれにしても、売却を検討している場合は1人で進めるのではなく、専門家へ相談しましょう。
事前に相場価格を査定してもらうことで、適正価格による交渉が可能になります。

借地権の相続に伴う売却なら当社センチュリー21マーキュリーが運営している「借地権相談所」へご相談ください。

借地権相談所へご相談いただくことをおすすめする理由
● 安心のセンチュリー21加盟店

● 借地権・底地専門として17年の実績がある不動産会社である

● 当社は借地権の買取を積極的に行っており、地主様との交渉等も借地権者様に代わり行うことができる

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借地相続の際によくあるトラブルと対処法

借地権相続に失敗しないためのポイントをお伝えしてきましたので、注意すべきことについてはご理解いただけたのではないかと思います。
しかし相続の際のトラブルは、土地の持ち主との間だけで発生するわけではありません。
相続人が複数名いる場合、その間で揉め事が生じるということもよくあります。
そこでこの章では、借地権を相続する際に相続人同士で発生しやすいトラブルとして、以下の3つを紹介します。

借地相続の際によくあるトラブル
● 建物の処理について意見が分かれる

● 遺産分割協議の際に評価額でもめる

● 共有で相続してしまう

もちろん、トラブルの状況だけでなく対処法についてもお伝えしていきます。
最後までお読みいただくことで、余計なトラブルを事前に回避できるようにしていきましょう。

建物の処理について意見が分かれる

よくあるトラブルのうちの一つ目は、「建物の処理について意見が分かれる」というものです。
借地権は、現金と違って簡単に分割ができない財産ですので「1人は住みたいと言っているがもう1人は売却したいと言っている」というように意見が分かれた場合は、スムーズに遺産分割をすることができなくなってしまいます。
その場合の基本的な対応方針は以下のようになるでしょう。

借地相続の際によくあるトラブル
● 居住したい人とそうでない人がいる場合
→ 居住したいと主張する1人が借地権を取得し、他の人には別の財産で補填する(代償金を支払う)

注意すべきなのは、借地権とその借地上の建物は、同一の相続人が取得しなければならないという点です。
何度か出てきている通り、借地権付きの土地の場合、「土地を借りている人」と「その土地上の建物を所有している人」は同一の名義である必要があります。
そのため、「土地の借地権を長男が取得し、建物の所有権を次男が取得する」というような遺産分割は将来トラブルに発展する可能性があり、最悪の場合、借地権の無断転貸とみなされ地主から借地権を解除されます。

遺産分割協議の際に評価額でもめる

前の項目で登場したケースのように「相続人の内の誰か1人がその建物に居住し、他の人は居住しない」という場合、借地権を相続しない人に対してはその分を別の財産で補填することになります。
不満が出ないようにするためには、例えば以下の図のように、全員が公平に権利を得られるようにする必要があるでしょう。

相続財産が借地権付き建物と預金2000万があった場合は下記のような分配例があります。

相続財産分配例
相続財産分配例

この時に揉めやすいのが、「借地権+建物の価値」の評価額をどのように想定するか、という点です。
「借地権+建物の価値」を取得する人はできるだけ安価に評価したいと考えますが、それ以外の人はできるだけ高く評価することで、自分の取り分を増やしたいと考えるかもしれません。
お互いに納得できる結果に落ち着かせるためには、自分たちだけで「●●円くらいだろう」と決めるのではなく、専門家に査定してもらうのが一番です。
その時は納得していても、後で「やっぱりおかしい」と言う人が出てくる可能性もあるので、最初から不動産会社へ適正な価値を査定してもらうようにしましょう。

共有で相続してしまう

これまで見てきたように、相続人が複数いると借地権をうまく分割できずに困ることがあります。
そうすると「とりあえず全員の共有にしておくか」という、その場しのぎの解決策を取ってしまう場合があります。
しかし、これは後々処理しにくくなってしまうため極力避けるのがおすすめです。
なぜかというと、以下のような事態に陥る可能性があるからです。

共有で相続する場合のデメリット
● 売却や建て替えなどを行う際に全員の同意が必要になるため、1人でも反対する人がいると何もできない

● 売却先が見つかっても、金額などの条件面に1人でも納得しない人がいれば売却ができなくなる

上記のように、共有で相続すると「全員の同意がなければ借地権に関する意思決定ができない」という状況になってしまいます。
そうすると、せっかくの財産なのに有効活用することができず、長期間放置されてしまうという事態にもつながりかねません。
そのため、相続者が複数人いる場合でも安易に「共有する」という選択は行わないようにしましょう。
専門家に価値を査定してもらった上で売却して現金化し、不公平感がでないように分割して相続するという方法が、最もトラブルを招きにくいのでおすすめです。

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借地権相続の手続きの流れ

借地権を相続する際に気を付けるべき点については、しっかりご理解いただけたのではないかと思います。
そこで次は、実際に借地権を相続する場合に必要となる手続きの流れを具体的に解説していきます。
借地権を相続するためにやることは、大きく分けると以下の2つです。

借地権相続の際にやること
● 土地の持ち主に連絡をする

● 借地権付き建物の名義変更登記をする

土地の持ち主に連絡をする

土地の持ち主に対しては、最終的に相続する人が決まったらその内容を通知する必要がありますが、まずは被相続人が亡くなった時点で、相続が発生する旨を連絡すると良いでしょう。
被相続人が亡くなってから、相続の手続きが完了するまでには時間がかかることもあり、その間の地代の支払いはどのようにするか、などをあらかじめ話し合っておく必要があるためです。
その後、必要な手続きが完了して正式な相続人が確定したら、改めて詳細を連絡するようにしましょう。

借地権付き建物の名義変更登記をする

次に、名義変更の手続きのやり方について解説します。
具体的な手順は以下の通りです。

名義変更をする際の手順
● 不動産全部事項証明書を取得

● 必要書類を揃えて法務局へ名義変更の申請
①不動産全部事項証明書を取得

まずは不動産全部事項証明書を取得し、名義変更の対象となる不動産の詳細を確認します。
通常は、借地上の建物が登記されていれば、土地を借りている人の権利が守られます。これを対抗要件と言います。借地権(賃借権の場合)地主に賃借権登記の義務はなく、第三者に対抗するためには借地上の建物を土地賃貸借契約者と同じ所有者で登記をしなければなりません。
そのため、借地上の建物について、名義変更を進めていくようにしましょう。
ただし、借地権自体にも登記がある場合は、「借地権」と「借地上の建物」両方の名義変更が必要となります。
まれなケースではありますが、自分の場合に該当するかどうかを念のため確認しておきましょう。

借地権の相続登記
借地権の相続登記

また、令和6年4月より不動産登記制度の見直しがあり、被相続人は不動産を取得、もしくは遺産分割協議の成立した日から3年以内に相続登記を行わなければなりません。

②必要書類を揃えて法務局へ名義変更の申請

次に、必要な書類を揃えた上で、土地の所在地を管轄する法務局へ名義変更の申請を行います。
登記の申請には、以下のような方法があります。

法務局への登記申請の方法
● 法務局の窓口で申請

● 法務局へ必要書類を郵送で送付して申請

● オンラインで申請

法務局の窓口が開いている時間に出向くことができないという場合は、郵送やオンラインなどの方法を活用すると良いでしょう。 オンラインで申請する場合は、こちらのページから申請用総合ソフトをインストールし、手続きを進めることができます。
ただしオンラインの場合、手続きがやや複雑になることと、書類の内容が間違っていた時にその場ですぐに修正できないということがありますので、不安な人は窓口で相談しながら進めるのが良いでしょう。
この時に必要となる書類には以下のようなものがあります。

名義変更に必要な書類
● 登記申請書

● 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本

● 相続人全員の現在の戸籍謄本

● 被相続人の住民票の除票もしくは戸籍の附票

● 相続人の住民票もしくは戸籍の附票

● 遺産分割協議書もしくは遺言書

● 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書を作成する場合)

● 固定資産税評価証明書

「登記申請書」は、法務局のホームページ「不動産登記の申請書様式について」のページからひな形をダウンロードできますので、それを利用して作成します。
「戸籍謄本」や「住民票」、「印鑑証明書」などは、管轄の市区町村役場に申請すれば取得することができます。
「遺産分割協議書」は、相続人全員が遺産の分割方法に同意していることを示すための書類です。
決まった形式やルールはありませんが、該当の不動産を誰が取得することになったのか、誰が見てもわかるように記載しておきましょう。
「固定資産税評価証明書」とは、該当の不動産の評価額や所有者などを証明する書類です。不動産が所在する市区町村役場に申請すれば取得することができます。
この章では、借地権を相続する際の手続きの流れを解説しました。
法務局への申請は、内容を間違えてしまうときちんと受理されなかったり、後で修正が発生して二度手間になったりしてしまいますので、慣れていない場合は専門家に依頼して代理で手続きをしてもらうのが良いでしょう。
「誰にどんな依頼をしたらいいのかわからない」という場合は、まずは「借地権相談所」へご相談ください。お客様の状況に合わせて、最適な方法をご提案いたします。

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相続税評価額の計算

ここまでお読みいただいたことで、借地権を相続するための手続きについて、具体的な流れをイメージできるようになったのではないでしょうか。
次に確認しておかなければならないのは、相続税の計算を行うために必要となる「借地権の相続税評価額」がいくらになるのか、という点です。
前半でもお伝えしたように、借地権は相続の対象になるものであるため、相続税を支払う義務が発生します。
ただし、相続税を計算する際は「借地権分の相続税がいくら」「預貯金分の相続税がいくら」というように分けて考えることはありません。
まずは相続財産全ての相続税評価額を合計して総額を出し、それに対して相続税を計算するという手順を踏むことになります。

相続税評価額の計算
相続税評価額の計算

そのためここでは、「借地権の相続税評価額をどのように算出するのか」という点について確認しておきましょう。 借地権の相続税評価額は、以下の計算式で算出できます。

借地権の相続税評価額の算出方法
● 借地権の相続税評価額(普通借地権の場合) = 自用地の評価額 × 借地権割合

自用地とは「他人が使用する権利のない自分の土地」のことを指します。
自用地の評価額の確認方法は以下の通りです。

自用地の評価額の確認方法
● 路線価地域に該当する場合(市街地):路線価 × 地積(土地の面積)

● 倍率地域に該当する場合(郊外)  :固定資産税評価額 × 倍率

借りている土地が、「路線価地域」と「倍率地域」のどちらに該当するのか、という点と、具体的な数値については、国税庁「路線価図」のページで確認できます。
そして「借地権割合」とは、土地の権利のうち借地が何割を占めるかを示す数字です。
一般的に、都会など地価の高い地域ほど土地の利用価値が高くなるため、借地権割合も高くなります。
例えば、東京の商業地では80%~90%、住宅地であれば60%~70%程度になるというイメージです。
借地権割合も、先ほどと同様に国税庁「路線価図」のページで確認することができますので、ご自身の借地の所在地を検索して調べてみてください。
借地権の相続税評価額の計算例は次の通りです。

借地権の相続税評価額の計算例
● 自用地の評価額が1,000万円・借地権割合が70%の場合の相続税評価額
→ 1,000万 × 70% = 700万円

上記の例の場合、700万円が相続税算出の際の評価額になるということになります。
相続税は、相続発生を知った時から10カ月以内に申告を行わなければなりません。
うっかり申告を忘れてしまった、手続きが間に合わなくなってしまった、ということがないよう、まずは相続税評価額の確認から進めていきましょう。

相続した借地権の売却も
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相続した借地権は、第三者へ売却をする事ができます。
相続人が、借地権上の建物に居住する予定がない場合・相続人が複数名おり、売却金額を相続人同士で分け合う場合などです。 しかしながら、当然第三者への売却に関しては地主の承諾も必要であり、地主側との条件交渉等も含め買取を行ってくれる業者は多くはありません。
当社は借地権の買取を積極的に行っており、地主様との交渉等も借地権者様に代わり行わせて頂きます。
相続した借地権の売却をお考えの方は、是非一度当社にご相談下さい。
→ 借地権の売買について

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相続時におけるご相談事例

地主側も相続により代替りしている。これまでの借地契約内容は、どうなるのか?
地主側・借地人側双方が相続などにより代替りしているケースでは、まずは立場を明らかにする為に誰が地代の振込みを行うのか?地代の受け取り先は誰なのか?それぞれの代表者を決めておくと良いかと思います。
代替りのタイミングで、これまでの借地契約を破棄したいと地主側の相続人に言われたとしても、それには応じる必要はございません。先代の借地契約内容がそのまま相続人たちへ引き継がれます。
借地上の建物が未登記で、相続人が複数名おり現在は共有で所有している状態なのだが、売却はできるのか?
相続人が複数名いる場合、次に代替りした際に相続人がさらに増えて後々トラブルになる可能性があります。
遺産分割協議などを踏まえ、誰が代表の相続人となるのかを明らかにしておいた方が良いと思います。借地権が未登記の場合、私どもの方で役所調査なども行いきちんと借地権としての権利を主張できるのかどうかなども確認をさせて頂きますのでまずはお気軽にご相談下さい。

借地権の相続に関するよくある質問

Q
借地権を相続させることは出来るの??
A
相続できます。また相続に限り名義書換料が発生しません。(生前贈与の場合は発生します。)
また、契約内容等は変更せず以前のままとなります。
Q
地主側も相続により代替りしているが、これまでの借地契約内容はどうなるのか?
A
先代の借地契約内容がそのまま相続人へ引き継がれることになります。
前半でもお伝えしたように、相続が発生したことによって既存の契約の内容が変わることはありません。
そのため基本的には、先代の交わした契約書がそのまま有効になります。
ただし、相続によって代替わりしているという場合は、お互いに契約の細かい部分まで理解できていなかったり、代表者が誰になるのか曖昧になったりする可能性もあります。
そのため、以下のようなポイントをあらためて確認しておくと良いでしょう。
代替わりの際に確認しておくべきこと
● 地代の振込みを行うのは誰か
● 地代の振込先は誰になるのか
● それぞれの代表者は誰か
Q
借地上の建物が未登記で、相続人が複数名おり現在は共有で所有している状態なのだが、売却はできるのか?
A
まずは借地権としての権利を主張できるのか確認をする必要があります
借地上の建物が未登記である場合、まずは法的に借地権としての権利を主張できるかどうか確認しなければなりません。
私どもの方で役所調査などを行って状況を確認させて頂きますので、まずはお気軽にご相談下さい。
また「複数名の相続人の共有で所有している」という場合、次に代替りした際に相続人がさらに増えて後々収拾がつかなくなってしまう可能性があります。
そのため、遺産分割協議などを踏まえて、借地権を相続する人を誰か1人に絞っておくことをおすすめします。
そうすれば売却を進める際にも、意見の相違により手続きが滞ってしまうという事態を避けることができるためです。
Q
借地権を相続するときに地主から更地返還を求められた
A
借地権者が亡くなられた場合、相続人は借地権を相続できます。地主から更地返還を求められても返還する必要はありません。
ですが、土地賃貸借契約書に一代限りで明渡すという特約が付されていた場合はこの限りではありません。一代限りで明渡すという特約が記載してあった場合、争いがあり裁判所も返還を認めた判例もあります。
もし土地賃貸借契約書に特約があった場合には弁護士に相談する事をお勧めします。
Q
借地権を相続放棄ってできるんですか?
A
他の不動産と同様に、相続の放棄等は可能です。

記事監修

監修者大庭辰夫 監修者大庭辰夫

監修者:株式会社マーキュリー 取締役 大庭 辰夫
2011年4月に入社以来、借地権・底地などの権利関係が複雑な不動産を取り扱い数多くの借地権者様、地主様の問題を解決し、土地・戸建て・マンション ・商業ビルなどあらゆる不動産の再生を行ってきた。
また、弁護士との情報共有を頻繁に行い、借地権・底地の見識を日々深めている。2018年5月、取締役に就任。

 

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