地主が借地権を
買い取る場合の
相場やポイント

     

地主が借地権を買い取る場合の要点10秒解説

  • 地主が買い戻す価格交渉は借地権割合!

  • 建物の解体費用などの負担は原則、借地人

  • 地主が借地権を買い戻すとは限らない!

  • 専門知識が必要なため、借地権を取り扱う専門会社に相談する!

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借地権を相続したけれど、そこに住む計画がない場合、地主に借地権を買い取ってもらうことを考えている人もいるかもしれません。 地主の視点から見ると、借地権の買い取りにより、その土地を自由に活用する機会が増えます。そのため、地主が買い取りを承諾する可能性は十分考えられます。 ただ、地主に借地権を買い取ってもらうためには、地主との交渉が必要となります。この交渉は難しく、適切な交渉法を理解したうえで、話し合いを進めることが肝心です。

地主に対して、借地権の売却は法的に可能なのか?

借地権とは、建物を建築するために地主から土地を借りる権利のことを指します。
旧借地権の場合は20年以上、普通借地権の期間は30年以上となっています。そのため、借地権者が亡くなった場合、その権利は相続されます。

相続した人はその土地を引き続き利用することができますが、遠くに住んでいるなどの理由で、その土地を使う予定がない場合、地主に借地権を買い取ってもらえないかと考える方も多くいらっしゃいます。

結論から申し上げると、借地権者側からの理由で借地権を地主に対して買い取りを要求する法的な権利は存在しません。
地主に対して建物買取請求権があるので借地権を地主が買取ってくれるものと思い込んでいる方もいます。ですが、それは間違いです。
建物買取請求権は地主が更新を認めないときに請求できる権利とされています。

借地借家法 第十三条
借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
2 前項の場合において、建物が借地権の存続期間が満了する前に借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべきものとして新たに築造されたものであるときは、裁判所は、借地権設定者の請求により、代金の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる。
3 前二項の規定は、借地権の存続期間が満了した場合における転借地権者と借地権設定者との間について準用する

引用:e-Gov 借地借家法第十三条

借地借家法第十三条

そのため、地主に借地権を買い取ってもらいたい場合、直接地主と交渉を行い合意に達する必要があります。

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地主が買い取る場合のメリットデメリット

借地権を地主に買い取りをお願いする場合、借地権者にはメリットやデメリットが存在するので注意しましょう。

メリット

① 地代支払いの負荷から解消される

借地権が相続されたとしても、その土地上の建物を利用する計画がない場合、毎年の借地料がただの負担となってしまいます。特に、借地権の有効期間がまだ何十年も残っていると、借地料の支払いは大きな重荷になりえます。

しかし、地主に借地権を買い取ってもらうことができれば、必要のない地代の支払いを省くことができ、それは大きなメリットとなります。

② 売却にかかる承諾料の負担がない

第三者に借地権を売却する場合には地主の承諾を得て譲渡承諾料を支払わなければなりません。譲渡承諾料は借地権価格の10%程度と言われています。
しかし、借地権を地主が買い取る場合は、譲渡承諾料がかかりません

デメリット

① 期待する価格での売却が困難な場合もある

売主はできるだけ高く売却したい、買主はできるだけ安く買いたいと思うのが心情です。
借地人がいくらで売りたいと思っても地主がその金額で購入するかはわかりません。先ほども記載しましたが、地主は借地権を買い取らなければならない義務はありません。お互いが納得する金額ではない場合は交渉が難航する可能性もあります。

② 地主が交渉を自分の有利に進める恐れがあります

地主としての心情は、借地権を買い取るではなく、使わないなら更地で返してくれと思っている地主さんは多くいます。
その為、借地人が借地権を手放したいという状況を有利に利用して地主は二束三文の値段を言ってくる可能性があります。

地主に借地権を売却する際の一般的な価格相場

借地権者が地主に借地権の買い取りを申し出た場合、どのくらいの価格から交渉していけばいいのでしょうか?

借地権者が地主に借地権の買取を要求する場合

デメリットでも挙げたように、地主は借地権を買い取らなければならない義務はありません。
最初の交渉は借地権割合(60%~70%の地域)で出した金額で交渉していき、状況によっても異なりますが、借地権の買取価格は借地権割合の50%程度で買い取りされることが多いようです。
ですが、借地権者側から交渉する場合には足元を見られもっと低い金額を言ってくる地主もいますし、更地で返してくれと言ってくる可能性もあります。

交渉の段階で引っ越し費用などを含んだ金額なのかを明示しておく必要があります。

借地権を地主に買い取ってもらうためのポイント

① 交渉
地主さんとの交渉が一番重要と言っても過言ではありません。
ですが、ほとんどの借地権者は地主に対して借地権の買取交渉をするのは初めての経験になるかと思います。
何も知らない借地権者が一人で交渉してしまうと足元を見られかねません。
ですので、借地権の買い取り交渉を不動産会社に仲介してもらうのがおすすめです。不動産会社は、専門的な知識と豊かな経験を持っていますから、適切な借地権価格を計算し、地主と円滑な交渉を進めてくれるでしょう。

自分だけでの交渉には不安があると感じる場合、専門家の知識を利用することで有利に事を進められる場合もあります。

借地権相談所では借地権、底地に携わって15年以上の実績経験があります。地主との交渉などお任せください。

② 借地権を買取業者に査定依頼後、地主と交渉
借地権の買取を地主に提案する前に、借地権を買取業者に査定を出してもらうことも有効な方法です。

借地権者にとっては選択肢が増え、地主以外の買取先を予め探しておくと、地主との交渉時に、「第三者への売却か、自分での買取か」の二つの選択肢を提示できます。
もともと地主が借地権を買い取るつもりがなかったとしても、「第三者に売られた場合、何十年も借地権を買い戻すことができない」と思い直す可能性があります。
また、あらかじめ買取業者に査定依頼しておけば、地主が借地権を買取りしなかった場合に、買取業者にすぐに買い取ってもらうことも可能です。

借地権相談所では借地権の買取査定を無料で行っておりますのでお気軽にご相談ください。

③ 価格交渉はお互い歩み寄りが大事
借地権の売却価格は、一般的な市場価格が存在しますが、具体的な取引価格は、借地権者と地主の間の交渉によって決まります。
したがって、必ずしも市場価格通りに売却できるとは限らないのです。市場価格に固執しすぎると、地主が買取に応じてくれない可能性もありますので、ある程度の歩み寄りを見せる柔軟性が求められます。

さらに、もし借地権を第三者に売却する場合には、地主からの承認を得る必要がありますが、その際には地主に対して、一般的には借地権割合の10%程度を承諾料として支払うのが慣習です。
地主に買取を依頼する場合には、承認料の支払いが不要となりますので、承諾料の金額を加味し受け入れる必要があるかもしれません。

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借地権を地主が買い取る際の注意点

地主さんが借地権を買取る場合、様々な交渉をしなければなりません。交渉する際の注意点をいくつか紹介します。

建物の解体費用はどちらが負担するのか

地主さんが借地権を買取る際に、ほどんどの地主は更地の状態にしてくださいと言ってきます。まれに、買取金額の交渉が先行してしまい、地主側も借地権者側も建物の解体費用の負担について忘れていることもあります。
買取金額の折り合いがついたけど、地主側は更地、借地権者側は現況(建物はそのまま)でとお互いが思っていることが違うというケースもあります。
ですので、借地権を地主が買取りする際の交渉は、借地権上の建物を現況で引き渡すのか更地にして引き渡さなければならないのかを条件に交渉を進めなければなりません。

② 更地にする際は慎重に

借地権の買い取りを地主との口頭での約束により、解体して更地にしたにも関わらず地主が買い取りを拒否するといったトラブルが起こることもあります。
借地権を主張する上で、借地上の建物は重要な要素となるため、このような問題は避けたいところです。

地主に借地権を買い取ってもらう際には、口頭での約束ではなく書面による契約を結ぶことが必要です。具体的には、引き渡しまでに更地にする義務が借地権者側にある場合には、地主の都合で売買契約が解除になる場合の解体費用負担などについて、契約書に明確に記載することを推奨します。
これにより、後のトラブルを未然に防ぐことが可能となります。

知っておくべき借地権売却に関する税金と経費

不動産を売却するときには、様々な税金や経費が発生します。今回は、特に借地権の不動産売却時に必要な経費に焦点を当てて説明します。

契約や決済時にかかる経費

●仲介手数料

不動産の売却時に仲介会社を入れた場合にかかる費用です。

売買金額 手数料率
200万円以下 5.5%
200万円超え400万円以下 4.4%
400万円超え 3.3%

例1000万円の不動産を売却した場合の仲介手数料

売買金額 当てはまる金額 手数料率 手数料
200万円以下の金額 200万円 5.5% 110,000円
200万円を超え400万円以下の金額 200万円 4.4% 88,000円
400万円を超える金額 600万円 3.3% 198,000円
合計 396,000円

上記の計算は、1000万の売買代金に対し200万以下、200万超え400万以下、400万超えの部分を当てはまる金額で仲介手数料率をかけて、それぞれ計算しなければなりません。 そこで、下記のような仲介手数料の速算式があります。

仲介手数料速算式

売買金額 手数料率
200万円以下(1万~199万) 5%+消費税
200万円を超え400万円以下(200万~399万) (4%+2万)×消費税
400万円超え (3%+6万)×消費税

例1000万円の不動産を売却した場合の仲介手数料
400万円超えの部分に当てはめるので計算は下記の通りになります。

(1,000万円 × 3%+6万)×消費税=396,000円

印紙税

不動産の売買契約書には印紙税がかかります。売買契約書に記載された金額によって貼付しなければならない印紙税額が変わります。

文書の種類 印紙税額
[不動産、鉱業権、無体財産権、船舶もしくは航空機または営業の譲渡に関する契約書]
 不動産売買契約書、不動産交換契約書、不動産売渡証書など
(注) 無体財産権とは、特許権、実用新案権、商標権、意匠権、回路配置利用権、育成者権、商号および著作権をいいます。
[地上権または土地の賃借権の設定または譲渡に関する契約書]
 土地賃貸借契約書、土地賃料変更契約書など
[消費貸借に関する契約書]
 金銭借用証書、金銭消費貸借契約書など
[運送に関する契約書(傭船契約書を含む。)]
 運送契約書、貨物運送引受書など
(注) 運送に関する契約書には、傭船契約書を含み、乗車券、乗船券、航空券および送り状は含まれません。
記載された契約金額が
1万円未満(※) 非課税
10万円以下 200円
10万円を超え50万円以下 400円
50万円を超え100万円以下 1千円
100万円を超え500万円以下 12千円
500万円を超え1千万円以下 1万円
1千万円を超え5千万円以下 2万円
5千万円を超え1億円以下 6万円
1億円を超え5億円以下 10万円
5億円を超え10億円以下 20万円
10億円を超え50億円以下 40万円
50億円を超えるもの 60万円
契約金額の記載のないもの 200円
※ ※第1号文書と第3号文書から第17号文書とに該当する文書で第1号文書に所属が決定されるものは、記載された契約金額が1万円未満であっても非課税文書となりません。
(注)平成9年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成される不動産の譲渡に関する契約書のうち、契約書に記載された契約金額が一定額を超えるものについては、税率が軽減されています(平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成されるものについてはコード7108「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」をご利用ください。)。

引用:国税庁 印紙税

譲渡承諾料

第三者に借地権を売却する場合には、地主に対して譲渡承諾料を支払わなければなりません。地主が借地権を買取る場合には譲渡承諾料は掛かりません。
譲渡承諾料は「名義書き換え料・名義変更料」とも言われます。

譲渡所得税

譲渡所得税とは、土地や建物を売ったときに得た利益に対して課される税金のことを指します。借地権を売却した際にも、所得税や住民税が課せられることになります。

譲渡所得は、以下の公式で計算されます。

譲渡所得 = 売却価格 - (購入価格 + 売却にかかった費用)

購入価格には、仲介手数料などの関連費用を加え、一方で建物の価値が減少する減価償却費用を引きます。

借地権を取得する際の費用(借地契約料など)も購入価格に含まれますが、毎月の地代は含みません。

なお、譲渡所得税の税率は、所有していた期間によって異なります。具体的には、短期間で売却した場合と長期間所有した後で売却した場合で、課税の方法が違うのです。

所有期間 区分 税率
5年以内 短期譲渡所得
参照:国税庁 短期譲渡所得
所得税30.63%+住民税9%=39.63%
5年超え
その年の1月1日時点で所有期間が5年を超えている場合
長期譲渡所得
参照:国税庁 長期譲渡所得
所得税15.315%+住民税5%=20.315%

※上記税率には所得税率に対し特別復興税2.1%を掛けて計算しております。(令和19年まで)
既存の建物を取り壊して更地にしてから売却した場合、解体工事の費用や土地の測量に関わる費用が発生します。これらの費用は、譲渡所得を計算する際に、売却に関連する経費としてカウントすることが可能です。

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地主が借地権の買い取りに応じなかった場合

地主が借地権の買い取りに応じなかった場合には、「地主に借地権を返す、第三者に売却、そのまま借地権を所有していく」の3通りしかありません。

地主が借地権の買い取りにお応じなかった場合

借地権を地主に返す

地主に借地権を返すことは、借地権者にとって最も負担が大きいケースです。
借地権者は借地権を返還するときには原状回復義務を負います。
原状回復とは、借りたときの状態に戻すことを言い、借地上の建物を解体して更地に戻し地主に返還しなければなりません。
解体費用が掛かってしまうため借地権者にとってはマイナスしかありません。

第三者に売却する

借地権は第三者にも売却できる権利です。地主が借地権の買い取りに応じなかった場合は、第三者に売却することが借地権者にとって最も負担の少ないケースと言えるでしょう。
ただし、第三者に借地権を売却する際は地主の承諾や承諾料の支払いが必要になります。
借地権の売却に関して詳しくは「売れないを解決! 借地権売買・売却に必要なテクニック」ご覧ください。

借地権を所有していく

借地権を地主が買取しない場合は、借地権を保有していくという考えもあります。
保有する場合、自己使用もしくは建物を賃貸に出して毎月賃料をもらう方法が考えられます。
いずれにしても、建物の維持管理費用が掛かってしまいます。
維持管理費用は下記のとおりです。

  • ●地代
  • ●借地権の更新料
  • ●リフォーム費用
  • ●建物の固定資産税・都市計画税
  • ●建替えする場合には建て替え費用及び建て替え承諾料

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借地権相談所は借地権のプロとして多くの方のサポートをしてきた実績がございます。
借地権・底地の問題も長年取り扱ってきました。顧問弁護士や顧問税理士と連携し法律・税務関係もご相談可能です。
些細な事でも構いませんので、お困りごとがございましたら、ぜひ、ご相談ください。ご相談も査定も無料で承っております。

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記事監修

監修者大庭辰夫 監修者大庭辰夫

監修者:株式会社マーキュリー 取締役 大庭 辰夫
2011年4月に入社以来、借地権・底地などの権利関係が複雑な不動産を取り扱い数多くの借地権者様、地主様の問題を解決し、土地・戸建て・マンション ・商業ビルなどあらゆる不動産の再生を行ってきた。
また、弁護士との情報共有を頻繁に行い、借地権・底地の見識を日々深めている。2018年5月、取締役に就任。

 

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